大阪障害児教育運動連絡会 文部科学省4.27通知に対する見解

障教連文科省427通知に対する見解

 この見解のダウンロードはこちら(PDF B5版4ページ)

障害のある子どもをふくめた全ての子どもの発達が保障される教育の実現を求めます

「特解別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」(文部科学省2022年4月27日付通知)に対する見解

 大阪の障害児教育にかかわる6団体でつくる「大阪障害児教育運動連絡会」は、文部科学省が4月27日に発出した通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」に関する見解を9月22日にとりまとめて公表しました。

 ぜひ多くの皆さんにお読みいただき、ご意見などをお寄せいただきますようお願いいたします。

<大阪障害児教育運動連絡会 構成団体>
大阪府立障害児学校教職員組合
大阪教職員組合 障害児教育部
大阪障害児・者を守る会
大阪の障害児教育をよくする会
全国障害者問題研究会 大阪支部
障害者(児)を守る全大阪連絡協議会

連絡先/〒543-0021 大阪市天王寺区東高津町7-11 大阪府教育会館704 号
TEL (06)6765-8904 FAX (06)6765-8905
E-mail fushoukyou_1◎@mtb.biglobe.ne.jp (◎は@に変えてください)

通知に関する私たちの見解

 本年4月27日、文科省から「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(通知)」(以下通知と表記)が都道府県教委、指定都市教委等に対し発出され、同内容が、大阪府教育庁から市町村教委に5月10日付で周知されました。これに伴い、各地で大混乱が起きています。

先生が減らされたり、居場所がなくなったりすると困ります

 通知では、特別支援学級に在籍する子どもの学習の場について、以下のことが示されています。

・令和3年度に一部の自治体を対象に実施した調査(※引用注 大阪府、大阪市が含まれる)において、特別支援学級に在籍する児童生徒が、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学び、特別支援学級において…指導を十分に受けていない事例があること。

・障害のある児童生徒が、必要な指導体制を整えないまま、交流及び共同学習として通常の学級で指導を受けることが継続するような状況は、実質的には、通常の学級に在籍して通級による指導を受ける状況と変わらず、不適切であること。

・特別支援学級に在籍している児童生徒が、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学んでいる場合には、学びの場の変更を検討するべきであること。…原則として週の半分以上を目安として特別支援学級において…授業を行うこと。

 大阪ではこれまで、「共に学び、共に育つ」教育を掲げ、障害のある子どもも通常学級で学ぶことを「原学級保障」として推し進められてきました。対してこの通知は、通常学級における交流及び共同教育への過度な傾倒を問題であると取り上げ、実質的に、大阪の方針の転換を迫る内容となっています。

 この通知を受けて大阪市・堺市を含む府内の各教育委員会では、各学校や保護者に対して、特別支援学級在籍の変更や、学習内容の早急な変更を求める動きが出てきています。ある自治体では、特別支援学級での授業時数を示しながら次年度の在籍について確認する文書が、別の自治体では「新しい支援教育の方針」を示し、特別支援学級での学習の「同意」を求める文書が、保護者に配布されました。

特別支援学級「原則として週の授業時数の半分以上」の「目安」の明示では、一人ひとりの教育的ニーズに応じられない

 私たち大阪障害児教育運動連絡会とその構成団体は、これまで一貫して障害のある子どもたちの発達を保障する教育の実現のために、特別支援学校・特別支援学級の充実、通級指導教室の全校設置をはじめ、通常学級をふくめた教育条件の改善を目指し取り組みを進めてきました。その中で、「共に学び、共に育つ」教育のもと、障害のある子どもが十分な支援を受けられないまま通常学級での学習を押しつけられることがあってはならないと指摘し、特別支援学校・特別支援学級での発達に応じた教育の充実を求めてきました。今回の通知は一見すると、大阪の「共に学び、共に育つ」教育の問題点を是正し、特別支援学級での子どもたちの実態にあわせた学習を促すようにも見えます。しかし実際は、この通知では障害児教育の充実にはつながらず、むしろ後退させるものと考えます。

 学校からの突然の連絡や報道等の情報に触れ、各地で不安の声があがっています。ある保護者は「うちの子の場合は、特別支援学級に在籍できないのか」「通級指導教室といっても、我が子が通う学校には設置されていない」と、先行きの不透明さへの不安を露わにします。

 通知は、冒頭で「一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要です」と示しておきながら、指導を可能とする条件整備が、どこにも示されていません。そればかりかむしろ「最も的確に応える指導」という文言には、支援の幅を広げるものではなく、個に応じるという名目で支援を効率化・限定化するようなきらいがあります。

 一人ひとりの教育的ニーズは多様であり、また環境や時々の状況により変化するものです。さらに、それぞれの子どもや学校・地域の指導・支援の経緯がある中で、通知のような形で基準を示すことは、子どもや保護者の不安をあおり、障害のある子どもたちの成長・発達の場を奪うものとなりかねません。

通知による、障害児のための教育保障・合理的配慮にかかる経費削減を懸念

 通知に触れ、学校生活にあたり、安全の見守りや集団生活への不安の解消を期待して特別支援学級に在籍した子どもや保護者から不安の声があがっています。特別支援学級に在籍し通常の学級での学習をがんばっている発達障害の子の保護者からは、「しんどくなった時にクールダウンできたり見守ってもらったりするためにと思い特別支援学級に在籍しました。確かに、うちの子は大部分が通常学級でもできるかもしれないけれど、先生が減るのは困るし、話が違うと思います」と、支援体制の後退を心配します。また肢体不自由児の保護者からは「自分で歩行することもできるため、安全な移動の見守り支援など合理的配慮の保障を期待して特別支援学級に在籍した。在籍でなくなると、これらの支援は保障されるのでしょうか」と指摘します。

 私たちは、通知の本質は障害児のための教育の充実、合理的配慮のための環境整備を図るものではないと考えます。通知の本当のねらいは、特別支援学級に在籍する子どもの数と学級数を減らし、障害への合理的配慮にかかる経費をおさえることにあると考えます。

保護者への十分な説明が行われないことへの強い憤り

 通知を受け、保護者に対する説明が十分に行われないまま、学びの場の「変更」が進められている状況が広がっています。中には教育委員会としての方針が定まらず、学校によって説明が異なる地域もあり、不信感も広がっています。このような中で、「学びの場」の変更を意図すると思われる確認や同意の取り付けが進められることに、怒りの声が上がっています。

 そもそも文科省は、これまで特別支援学級在籍の子どもたちの通常学級での「交流及び共同学習」を推奨してきました。05年の『特別支援教育を推進するための制度の在り方について』(中教審答申)や、昨年度の『新しい特別支援教育の在り方に関する有識者会議』、『障害のある子供の教育支援の手引』にも示されており、今回の通知はこれらとの矛盾が見られます。これが、混乱をより一層強める要因となっています。

 教育の場の選択は、子どもやその保護者の納得と同意が原則です。しかし現状は、この原則がないがしろにされています。子どもや保護者が納得できるような十分な説明がないまま判断を迫られている状況に、私たちは強い憤りを感じています。

不十分な特別支援教育の条件の中で、大阪の特別支援学級が担ってきたもの

学校そのものが、子どもたちにとって過ごしやすい場所になっていない

 大阪府内の特別支援学級に在籍する子どもは、特別支援教育が始まった07年度と比べて21年度は3.53倍となりました。これは、全国にも増して高い水準です。通知を出すにあたり、文科省は「在籍の割合が高い地域」への調査を根拠にしましたが、大阪をはじめ全国の在籍数の増加の背景には、特別支援学級の「適切な運用」や学びの場の「適切な判断」の問題にとどまらない、教育そのもののあり方の問題が含まれていると、私たちは考えています。

 クールダウンの場として特別支援学級を利用していた子どもは、「通常学級は、生徒がいっぱいいて先生は1人しかいないのに対応してもらえるわけないやん。先生も忙しいし」と学校の状況を語ります。先生が子どもたちと丁寧に関わるには、1学級の人数が多すぎること、日々の業務に多忙なことを子どもが察して遠慮するような状況です。またある保護者は、「通常学級では子どもたちがテストと競争によるストレスで、荒れや不登校、いじめなどが心配」と語り、学校そのものが子どもたちにとって、過ごしやすい場所になっていないという現状を憂います。

 今、学校は「全国学力状況調査」や大阪府が進める「チャレンジテスト」「すくすくウォッチ」などの競争と管理の強化により、子どもたちにとって生きづらい場所となっていっています。特別支援学級や特別支援学校に在籍する子どもの増加の背景にはこうした通常教育が抱える問題もあると考えます。

子どもや保護者に寄り添い励ます役割を担ってきた特別支援学級

 生きづらい場所となっている学校において、特別支援学級とその担任の先生は、子どもや保護者の不安に寄り添い、子どもの成長・発達への希望を指し示し、子どもたちが真に安心して学校生活を送るために大きな役割を果たしてきました。特に、大阪の小中学校では本人・保護者の意向を踏まえ可能な活動については通常の学級で行い、小集団が好ましい活動や個に応じた学習については個別に特別支援学級で行うという方式も行われてきました。ある保護者は、「特別支援学級での授業時数には表れない、生活面・精神面で下支えしてきた特別支援学級」の役割を指摘します。大阪の特別支援学級は、全国にも増して、子どもの駆け込み寺として機能し、通常学級と連携しながら保護者の不安感に寄り添い励ましてきました。自己選択・自己責任の考えが広がる中で、生きづらさをかかえた我が子を守りたい一心で特別支援学級への入級を希望する保護者の切実な思いを支えることも、特別支援学級の大事な役割のひとつとなっています。

 他方で、大阪府内では、「共生・共育」が掲げられる中で、本人や保護者が希望するにもかかわらず、特別支援学級の授業を「算数」「国語」の教科のみに限定したり、子どもの障害や発達状況を軽視して理解が困難な通常の学級の授業に参加させたりといった、生き生きとした主体的な学びが奪われてきた実態があります。中にはストレスのために「自傷」「他傷」や行き渋り・不登校などの二次障害を引き起こし、居場所を求めて支援学校に転校するというケースもあります。私たちはこのような行き過ぎた「共に学び・共に育つ」教育を是正し、どの子も安心して学び、発達が保障される教育に変えていくことも課題だと考えています。

 通知が示す「適切な運用」からは、大阪の特別支援学級が担ってきた、子どもや保護者をささえる役割が見えてきません。大阪の特別支援学級が担ってきた役割を正当に評価し、支援・指導を限定してきたこれまでの方針を是正することが大切です。そのためにも、一人ひとりの教育的ニーズを踏まえたカリキュラムと支援体制の充実が不可欠です。通常学級や特別支援学級、通級指導教室が子どもの学びの場としてふさわしい環境として整備され、特別支援学級での学習時間で「適切」かどうかをはかるのではなく、豊かな環境の下で学校全体が連携して支援を展開できるようにすることこそ必要と考えます。

一人ひとりの教育的ニーズに応え得る教育条件整備こそ急務

 通知では、学びの場の変更にあたっての支援の方策として「通級指導教室」が示されています。しかし、実際は子どものニーズに応じられるような設置状況ではありません。府内にある小・中学校1434校に対して通級指導教室は約3割の456教室しかありません。各地の設置状況にもばらつきがあり、中には20校に1教室しか設置されていない地域もあります。また、依然として保護者の送り迎えを必要とする他校通級が中心で、1教室40人を超える子どもが利用する教室もある等、支援を受けるには大きな制約があります。今後、13人定員へと整備されていく見通しですが、8人定員の特別支援学級の支援体制とは大きな格差があります。これでは、学ぶ権利の後退にもなりかねません。

 保護者の相談や各方面との連携を担う、特別支援コーディネーターも専任配置ではありません。特別支援学級や通常学級の担任をしながらでは、「話を聞いてもらいたい。相談したい」という保護者の思いにいつでも応じられる状況ではありません。通常学級に在籍し望めば安心して利用できる自校通級の通級指導教室の全校設置や定数の改善、特別支援コーディネーターの専任化を急ぐ必要があります。

 子どもの発達を保障し、保護者を支える役割を担っている特別支援学級においても、決して十分な条件ではありません。特別支援学級在籍数が3.53倍になる一方で、学級設置は2.56倍に留められています(07年度比)。特別支援学級定数は30年前から改善されず8人のままで、重複障害のある子どもに対しても加配等の措置もありません。また、中には1年から6年まで全ての学年の子どもが学ぶ学級もあります。特別支援学級の縮減が懸念されるような通知ではなく、在籍児童・生徒数の増加に実質的に見合った特別支援学級の増設置と、学級定数を6人に引き下げるなど特別支援学級の教育条件改善をすすめる事こそが必要です。

私たちの願い

 文科省通知は、教育そのものが抱える問題、在籍が増える理由の本質に触れられていません。そして、不十分な支援体制の中で、大阪の特別支援学級担任が担ってきた重要な役割についても触れることなく、「特別支援学級」を拠り所にしてきた保護者の思いを汲む内容は、一切示されていません。それにもかかわらず、通知が特別支援学級での授業時数を根拠に「学びの場の変更」を求めることは極めて不適切です。保護者の願いや子どもの状況、地域の実情を踏まえずに、紋切り型に切り捨てるようなことは、とうてい認められません。私たちは、障害のある子どもたちの発達を保障する教育を求めます。そのためにも、

・地域に密着した小規模・適正な特別支援学校の新設
・特別支援学級の定数改善(当面6人に)と増設置
・通級指導教室の全校設置と定数改善、指導・支援体制の充実
・特別支援コーディネーターの専任配置
・中学校も含めた義務教育全学年35人学級の実現など通常学級の定数改善
・通常学級での合理的配慮を可能とする人的・物的・技術的な諸条件の整備
・看護師・介助員・相談員等、障害のある子どもの支援を充実するための人的配置

など、教育条件の改善を強く求めます。そしてその改善が、保護者や子どもの思いを十分に聞き取って進められることを原則とするよう求めます。

 このほど国連障害者権利委員会は、「総括所見(22年9月9日)」を取りまとめて日本政府に施策の改善を求めました。障害児教育に関しては、今回の通知を撤回するよう名指しで勧告するとともに、インクルーシブ教育の推進を強く求めています。

 今求められているのは、管理と競争によって子どもたちを「排除する」教育を改め、少人数学級の実現や障害のある子ども、不登校・被虐待・非行・貧困問題、外国籍ルーツの子どもや帰国子女など様々な困難や「特別な教育的ニーズ」を抱える子どもたちの尊厳と多様性を「包み込む」=「排除しない」真のインクルーシブ教育の実現です。単に学ぶ場を一緒にしたことでインクルーシブが実現したとは到底言えません。現在の、多くの子どもたちが居場所を失い、学ぶ意欲をそがれ、生き生きと活動できない競争・管理主義教育をきっぱりと是正してこそ、真のインクルーシブ教育は実現できます。それは私たちが求める教育諸条件の改善を第一歩として、多くの教育関係者・市民の共同の力で実を結んでいくものであると考えます。

 私たちは、競争・管理に傾倒する教育のあり方の是正をもとめ、貧しい教育条件のまま、「通常学級か特別支援学級か」「地域の学校か支援学校か」という二者択一を迫るのではなく、一人ひとりの障害や発達の状態、教育的ニーズに応じる事が可能な基礎的な条件整備を進めることを求めます。

 大阪の障害児教育における教育条件整備と、子どもの実態に応じた障害児教育の充実の上で、障害のある子どもをふくめた全ての子どもの発達が保障される教育を実現するために、通知の即時撤回を求めます。

「学力向上支援チーム事業」(若手の授業 数値で評価)についての要求書を提出しました

2022年2月24日

大阪市教育委員会教育長
 山本晋次 様

大阪市学校園教職員組合
執行委員長 宮城登

 「学力向上支援チーム事業」(若手の授業 数値で評価)についての要求書(PDF)

「学力向上支援チーム事業」(若手の授業 数値で評価)についての要求書

 朝日新聞2022年2月10日付は、「若手の授業 数値で評価」の見出しで、「大阪市教育委員会は4月から、若手教員の授業を数値で評価する事業を全市立小中学校で始める。元校長らが評価し、児童生徒にもアンケートで『わかりやすさ』などを尋ねる。」と報じました。

 オンラインにコメントが9日、10日約300件寄せられ(デジタルは9日17:56配信)、「若い教員は萎縮」「授業を研究させる暇も与えない。満足に研究できなかった授業で日々を凌いでいる若手は低評価を受けて自信を無くす」「まずは労働環境の改善」「こんなことをするから大阪の若い先生の離職率が高いし、採用倍率も下がるんですよ」「大阪の教員を目指す若者は確実に減少する」「教職志望の学生に学生課が『大阪は止めといた方が良い』と言うんですね。教職志望率最低の大阪」「これでまた教員志望が減る…教員が足りなくなる…ブラックな職場が蔓延…それが現実」「教育現場に数値目標や評価が合わない」「もう大阪の公教育は破綻する。教育ではなく、政治主導による、サービス業そのもの」等々の声が上がりました。

 大阪市は2月16日、「令和4年度(2022年度)当初予算(案)」を公表しました。「令和4年度予算(案)について~豊かな大阪の実現に向けて~PDF版)」「きめ細やかな質の高い学校教育の推進①」、新規事業「学力向上支援チーム事業」の項で、「スクールアドバイザーによる訪問指導(小中学校等 全409校)」を上げています。「令和4年度予算案・説明」では、「全小中学校等の教員の授業力向上を図るとともに、学力に課題の見られる全ての児童生徒へのきめ細やかで継続した指導・支援のため、ブロック担当指導主事やスクールアドバイザー(指導技術に長けた元校長等 44 人)などから構成される「支援チーム」を設置 ・スクールアドバイザーが小中学校等全409校を定期的に訪問(月2回程度)し、データ等の分析に基づいた実践的指導助言を行うことにより、教員の授業力向上を支援」としましたが、「若手の教員」「数値で評価」の記述はありません。

 朝日新聞2月19日付は、「2022年度の主な教育関連予算」として、「・学力向上支援チーム事業(5億5400万円)約400の全小中学校を元校長らの『支援チーム』が月2回程度訪れ、各教員1人の授業を評価・指導。教員の授業力向上を図る。」報じました。

 学校園現場では「若手の授業 数値で評価」の突然の報道に、驚き、不安、怒りの声が上がっています。大阪市学校園教職員組合は「「若手の授業 数値で評価」の撤回を求めます。コロナ禍のもと子どもの命と健康を守る、教職員が一丸となった取り組みに分断を持ち込む「評価」を止めることをこの間要求してきました(大阪市教職員組合協議会労働条件改善要求書2022年1月21日 人事評価制度において絶対評価との矛盾を広げ、成績主義を強める相対評価を廃止すること。教育職員に対して、職員基本条例第3条の定めに反する、また公正性・納得性・透明性に大きな問題を持つ人事評価制度(相対評価)を止めること。大阪市人事評価制度を人事・処遇に連動させないこと)。                    
 また、「授業アンケート」の問題点を指摘し実施反対の立場を明らかにしてきました。

 勤務労働条件に大きく関わる「若手の授業 数値で評価」の問題について、事業の詳細を提案し、協議に応じることを要求します。

1.新聞報道の内容、「スクールアドバイザーによる訪問指導」の詳細について説明すること。

2.訪問指導の対象となる「若手」を明らかにすること。

3.なぜ「若手」なのか、「若手」を対象とする根拠、根拠法令は何か明らかにすること。

4.「実践的指導助言」ではなく、「評価」なのか、「評価」をする根拠、根拠法令は何かを明らかに 
すること。

5.各校1人はどのように選ぶのか。差別的扱いではないのか。

6.「数値で評価」の詳細を明らかにすること。

7.人事評価制度(相対評価)を止めること。人事・処遇に連動させないこと

以上

================================

<資料1.> 朝日新聞2022年2月10日

若手の授業 数値で評価 大阪市教委

 大阪市教育委員会は4月から・若手教員の授業を数値で評価する事業を全市立小中学校で始める。元校長らが評価し、児童生徒にもアンケートで授業の「わかりやすさ」などを尋ねる。市教委によると、他の自治体で同様の取り組みは把握していないという。

 大阪市は今年度、全国学力調査の全科目の結果で全国平均を下回っており、主に若手教員らの授業を改善して学力の底上げにつなげたい考えだ。評価するのは約400の全市立小中学校で各校1人の授業。対象は小学校では国語と算数、中学校は学校ごとに数科目を選ぶ。元校長らが授業を見て「板書のわかりやすさ」「発問の工夫」など9項目で4段階評価して助言もし、教員も自己評価する。児童生徒にもアンケートをし、授業の「わかりやすさ」「楽しさ」など7項目を4段階で尋ねる

<資料2.> 朝日新聞2022年2月10日

・学力向上支援チーム事業(5億5400万円)
 約400の全小中学校を元校長らの「支援チーム」が月2回程度訪れ、各校教員1人の授業を評価・指導。教員の授業力向上を図る。学力に課題のある児童生徒の多い小中90校で、元教員らが放課後学習支援をする。

・学校教育ICT活用事業(65億8900万円)
 新型コロナ感染拡大時の学びの保障のため、教員によるオンライン学習の取り組みを支援するため、ICT教育アシスタントを37人から65人に増員する。

<資料3.> 令和4年度(2022年度)当初予算(案)2022年2月16日
令和4年度予算(案)について ~ 豊かな大阪の実現に向けて ~(PDF版)

 

 

 

「ICTを活用した教育の推進」批判学習会(2月23日)

「ICTを活用した教育の推進」批判学習会

 この案内のダウンロードはこちら(PDF)

市教委「ICTを活用した教育の推進」批判学習会
子どもの学びは? 個人情報は?
デジタル庁「教育データ利活用」のもとで 

 大阪市総合教育会議が1月18日に行われ、教育振興基本計画(案)が決められました。
基本的な方向6は、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)となっています。
大阪市の「ダッシュボード」は教育再生実行会議資料やNewton別冊「人工知能 完全版」に紹介されています。子どもの学び・個人情報を守るため、ICT教育を批判的に学習しましょう。

講師:田中康寛さん 大阪教育文化センター事務局次長
     「GIGAスクール構想の危険なねらいと本質」著者
                『人権と部落問題』2022年1月号

○日時:2月23日(祝・水)13時30分~      
○会場:アネックスパル法円坂(JR環状線・森ノ宮、地下鉄谷町四丁目)

主催 大阪市学校園教職員組合(06-6910-8700)

教育振興基本計画(素案)討議資料を発行しました

大阪市教育振興基本計画(素案)討議資料を発行しました。

 大阪市教育振興基本計画(22~25年度)素案のパブリックコメントが11月1日まで行われました。教育振興基本計画の「主たる記載事項は、学校の耐震化、学校の統廃合、少人数学級の推進、総合的な放課後対策…予算や条例等…事項についての目標や根本となる方針…」(文科省通知)であるにも関わらず、市長が教育内容にまで「不当な支配」を行う仕組みとなっています。パブリックコメントに提出した文章を掲載します。

教育振興基本計画(素案)(PDF)

「学校現場への抗原検査導入反対」要求書提出

「学校現場への抗原検査導入反対」要求書提出8月30日

 大阪市教・養護教職員部は8月30日、「学校現場への抗原検査導入反対」要求書を提出しました。

 「抗原検査を学校現場に導入することは、教職員と子ども・保護者との関係性を難しくし、教職員の業務の過大な負担と教職員のメンタルヘルスや感染リスクに大きな影響を及ぼすと考えます。抗原検査の学校現場導入には強く反対し、学校現場に押し付けないことを要求します。」

 国際医療福祉大学教授の和田耕治氏は、「小中学生が自分たちで検査するということは基本的にないと考えます。医療機関を受診させて下さい。」と指摘しています。

 そして、学校園に通知する場合、9点にわたって明らかにすることを求めました。

大阪市教ニュース(画像PDF)

 

オンライン学習問題討議資料を発行しました。

オンライン学習問題討議資料を発行しました。

要約

その結果、プロジェクターを除くICT 機器の使用は概ね学力に対して負の影響を与えており、政策意図とは逆に生徒の学力を引き下げていることが明らかになった。

はじめに

その結果、現在のICT教育には学力をさせる効果はなく、むしろ逆効果であることが判明した。そのため、現状のICT教育を推進する政策を一時的に中止し、効果的な使用方法を研究・開発した上で、再導入することを新たな政策として提言する。

討議資料(画像PDF)

子どもの権利・NGO大阪が大阪市長の発言による学校園の混乱を解決し子ども達の発達・学ぶ権利の保障を求め声明

2021年6月3日に「子どもの権利・NGO大阪(代表委員 石井郁子 長尾ゆり 丹羽徹 前田美子 柚木健一 渡辺和恵)が声明を発表しました。

 この見解のダウンロードはこちら(PDF)

-------------------------

松井一郎大阪市長の「オンライン授業」発言による大阪市立学校園の混乱を解決し、すべての子どもたちの成長発達や学ぶ権利の保障、安心・安全な学校教育を求める声明

はじめに

 当団体は「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」の理念にのっとり、同条約の普及・実行及びそれに付随する活動を行う団体である。4月19日の松井市長発言に端を発した「オンライン授業」をめぐる混乱は、国連子どもの権利条約並びに国連子どもの権利委員会勧告に照らして、看過できない重要問題をはらんでいる。「子どもの権利・NGO大阪」は、大阪市の教育現場の困難と混乱を解決し、すべての子どもの権利が守られる施策がとられることを強く求め、この声明を発表する。

1.松井市長の「オンライン授業」発言が生み出した教育現場の混乱による一番の被害者は子どもたちである。

 本年4月以降、新型コロナウイルスの感染が再拡大し、大阪府をはじめとする自治体が政府に対して緊急事態宣言の発出を求める中、4月19日に松井一郎大阪市長が記者会見で「緊急事態宣言中は原則オンラインで授業する」と発表した。教育委員会との協議も行わないままに決定し発表したことは、多大な困難と混乱を引き起こすこととなった。

 同月22日付けで大阪市教育委員会は市長の「指示」を追認し、市立小中学校に対して「1・2時限目を家庭でICT活用やプリント学習、3時限目から登校し、給食を食べ、5・6時限目は家庭で学習」との通知を行った。

 同月25日に緊急事態宣言が発出され、翌26日から各学校においてオンライン等での自宅学習が開始されたが、実態は、とても「オンライン授業」と言えるものではなく、学校現場は混乱を極め、子どもや保護者、教職員・学校に大きな負担がかかった。

 なお、「オンライン授業」については、文部科学省が授業時数として認めていないことも判明し、授業時数確保のために、行事や夏休みが削られるのではないかと不安を広げている。

 このような市長の独断による教育介入は、地方教育行政法違反であり、違法と言わざるをえない。

 また、ⅠCT教育については、競争教育の助長、教育格差の広がり、教育産業へのビッグデータ(個人情報)の提供など問題点も懸念される中、ネット環境やインフラ整備が不十分なまま、「オンライン授業」を強行した市長の責任は大きい。

2.木川南小学校長の「提言」は、大阪市の教育の問題点を明らかにし、根本的な教育のあり方を問うものであり、賛同する

 大阪市立木川南小学校長・久保校長は、「豊かな学校文化を取り戻し、学びあう学校にするために」として、市の教育行政への「提言書」を松井市長に実名で送った。松井市長は、久保校長の「提言」に対して「社会の現場がわかってない。今の時代子供たちは競争する社会の中で生き抜いていかなければならない」とマスコミに発言したが、国連子どもの権利条約と子どもの権利委員会からの勧告内容に照らしても、校長の提言の方がはるかに子どもたちや学校の抱えている問題に向き合い、本来の教育とは何かを真剣に問うものとなっている。評価主義の弊害や、教職員の身体的・精神的疲弊など、現場で実態を見ているからこそ、この「提言」が出せたと言える。

 久保校長は、「提言」のなかで、今回の事態について、子どもにとっての「最善の利益」が考慮されずに「結局、子どもの安全・安心も学ぶ権利もどちらも保障されない状況を生み出していることに、胸をかきむしられる思いである」と、子どものことを一番に考える教育者としての苦しみを吐露している。

 5月20日に開催された大阪市議会教育子ども委員会では久保校長に対する懲戒処分の議論も出ているが、子どもと学校を何より大切に思う校長にどのような処分を下すというのだろうか。自由な意見表明を制限することは、憲法が保障する言論の自由に反する。また、上からの指示を押し付けるだけでは、教育をどう良くしていくかの議論もできない。校長がものを言えない学校や社会では、教職員もものを言えなくなり、ひいては、子どもたちの口も封じられてしまう。

 地方教育行政法に違反し、教育への介入をおこなった市長に「処分」する権限はないし、そもそも学校長に対する人事権はない。よもや、校長の意見表明に対して何らかの処分が下されることなどないであろう。しかし、万が一、処分があった場合には強く抗議するとともに、教職員の自由な意見表明を保障することを求める。

3.「競争教育」については国連子どもの権利委員会から再三にわたり勧告を受けている

 木川南小学校長は、「提言」のなかで、「人材という『商品』を作り出す工場と化している」学校の状況を厳しく批判し、「競争」教育の見直しを求めている。その見解と立場は、国連子どもの権利委員会の勧告とまさに一致している。つまり、「提言」は、子どもの権利についての国際水準であり、世界的常識であるということである。

 日本政府は1994年に子どもの権利条約を批准し、最初は2年以内に、その後は5年ごとに国連に報告する義務を負っている。その報告に関して、国連子どもの権利委員会からこれまでに4回の勧告(最終所見)が出されている。その中でも「競争教育」については、毎回「懸念」が表明されている。以下のとおりである。

 第1回勧告(1998年6月)

(パラ22):過度に競争的な教育制度によるストレスにさらされ、かつ、その結果として余暇、身体的活動および休息を欠くにいたっており、子どもが発達のゆがみをきたしていることを懸念する。

(パラ43):本委員会は、貴国における過度に競争的な教育制度、および、それが子どもの身体的および精神的健康に与えている否定的な影響に鑑み~過度なストレスおよび学校嫌いを防止し、かつ、それらを生みだす教育制度と闘うための適切な措置を取るよう貴国に勧告する。
 

 第2回勧告(2004年1月)

(パラ49):本委員会は以下のことを懸念する。a)教育制度の過度に競争的な性格が子どもの肉体的および精神的な健康に否定的な影響をおよぼし、かつ、子どもが最大限可能なまでに発達することを妨げていること。

 第3回勧告(2010年6月)

(パラ70):高度に競争主義的な学校環境が、就学年齢にある子どもの間のいじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退及び自殺の原因となることを懸念する。

 第4・5回勧告(2019年3月)

(パラ39):本委員会は~以下のことを勧告する。(b)あまりにも競争的な制度を含むストレスフルな学校環境から子どもを解放することを目的とする措置を強化すること。
 (※文中の「~」は中略)

4.いま、子どもたちの意見を聴くことこそが求められている

 子どもの権利条約第12条(意見表明権)は、「児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」と明記している。また、子どもの権利委員会は勧告で「家庭、裁判所、行政機関、施設、学校において、また政策の制定および運用に関して、子どもに影響を与えるすべての事柄について、子どもの意見の尊重および子どもの参加を促進し、また、子どもがこの権利を確実に認識できるようにすること」を日本政府に求めている。

 昨年の全国一斉休校もそうだったが、「トップダウン」で物事が動いていき、当事者の声は聴かれることがない。大阪市の「オンライン授業」についても、保護者は学校からの連絡ではなく、「テレビのニュースを見て知った」のである。子どもたちは、コロナ感染拡大の下、運動会や修学旅行など子どもが主役の行事についても、意見を聞かれることもなく、「中止になった」などと結果だけを押しつけられてきたことが多い。まずは当事者である子どもの思いや意見を聴いてほしい。また、保護者や教職員の意見も聴き取り、学校運営や教育に活かす必要がある。

 緊急事態宣言下で意見を聴くことができず実施する場合においても、すべての子どもたちに、年齢に応じたきめ細やかな説明を行うべきである。また、事後には、子どもたちの思いを聴取し、その方針がどうだったのか、調査・検証を行っていただきたい。

5.最後に

 当団体は、松井市長の「オンライン授業」発言が生み出した大阪市の学校現場におけるさまざまな混乱を直ちに解決することを求める。当事者である子ども、保護者、教職員の声を聴き、子どもの最善の利益を考慮し、子どもの命と安全を守り、学ぶ権利を保障するための施策をおこなうことを求める。そして、特にコロナ禍においては、子どもの権利条約の理念にのっとり、現在行われている過度に競争主義的な教育を見直し、すべての子どもたちの成長発達や学ぶ権利を保障し、安心・安全な学校教育を実現するために、力を合わせることをよびかける。

2021年6月3日

子どもの権利・NGO大阪         
代表委員 石井郁子 長尾ゆり 丹羽徹
前田美子 柚木健一 渡辺和恵
運営委員一同

「オンライン授業の強制」への見解(談話)を発表しました

「第46回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議を踏まえた今後の学校園における対応について」(2021年4月22日)「オンライン授業の強制」への見解

学校で仲間とともに学び、活動できないことによる、子どもたちへの悪影響は、昨年の「一斉休校」で明らかになりました。また、保護者の生活にも多大の問題を生じました。子どもたちの学ぶ権利を保障しない、違法な学校教育ヘの介入をやめ、教育課程は学校において編成するという原則に立ち戻るべきです。

2021年4月22日 大阪市学校園教職員組合 執行委員長 宮城登(談話)

 この談話のダウンロードはこちら(PDF)

 第46回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議は4月20日、政府に「緊急事態宣言」を行うよう要請することを決定しました。松井一郎市長は4月19日、宣言期間中は原則オンラインで授業すると表明しましたが、タブレット端末が配備されたばかりで多くの学校で態勢が整っていないことから、「オンライン授業断念 大阪市小中 一転、『端末不慣れ』」と毎日新聞4月21日付が報じました。(市教委が各校の状況を確認すると、『端末の操作に不慣れな子どもが多く、スムーズにオンライン授業を進めるのが難しいと判断。保護者からも「仕事を休めない」「テレワークをしているので面倒を見られない」などの意見が寄せられ、全面的な導入を断念した。)

 しかし、大阪市教育長・子ども青少年局長が4月22日に各幼稚園長、各小学校長、各中学校長に通知した「第46回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議を踏まえた今後の学校園における対応について」「1 学校園における授業・保育について」においては、【小学校】1、2時限目は家庭でICTを活用、3時限中に登校・健康観察、4時限目に1、2時限目の学習を深める、その後、給食を喫食し下校、5、6限目家庭で学習、としています。朝日新聞4月22日付は、「午前オンライン ▸ 登校して給食 ▸ 帰宅しオンライン」と書きました。

 「ある大阪市立小の校長は『端末は人数分あるが、準備ができていない。回線も担任もパンクする』と懸念する。学習の進み具合にも差が出ないか心配という。『画面を見て勉強できる子もいれば、担任がいないと集中できない子もいる』(朝日新聞4月20日)、小学校5年の長女を通わせる市内の会社の女性(42)は、「あまりに唐突で不安しかない」、40代の男性会社員は、「コロナ禍で子どもの学びが置き去りにされている。去年1年だけだと目をつぶってきたのに、今年もこの内容だなんて」と憤る、と朝日新聞4月22日付が報じました。

 大阪の感染拡大、「医療崩壊」については、「知事の責任は重い」(朝日4月16日社説)、「大阪 病床削減 大失態」(日刊現代4月15日)、「〝規制と緩和の反復横跳び〟の末に感染爆発が止まらなくなった」(週刊ポスト4月30日)とメディアからも指摘されています。「変異株への感染が8割の大阪府では、10代以下の感染者の割合が第3波の時の2倍に。」と報じられていますが、検査に後ろ向きで、他の自治体に比べて、高齢者施設の検査でも社会的検査でもけた違いに低い水準です。私たちは教職員のPCR検査を求めていますが、行われていません。行政として行うべきことを行わず、学校での教育活動を制限する、「オンライン授業ありき」の方針は再検討すべきです。

 文部科学省は4月19日、「デジタル時代の子どもの目の健康対策」について、専門家が集まり対策を話し合ったとTBS系ニュースが報じました。オンライン教育の問題点については専門家から様々指摘されており、「ICTありき」でなく、子どもの成長・発達と学校の実態をふまえた取り組みが求められています。(全日本教職員組合は第一次討議資料として、「『ICTありき』でなく、子どもの成長・発達と学校の実態をふまえたとりくみを=「GIGAスクール構想」など「教育のICT化」について=」を発行)

 学校の教育活動について文部科学省は、「各学校においては、法令及びこの章以下に示すところに従い、生徒の人間としての調和のとれた育成を目指し、その心身の障害の状態、発達段階及び特性等、地域や学校の実態並びに学科の特色を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとする。」としています。
 首長が教育内容、教育方法、教材について事細かく命ずることは法的に根拠がありません。「地域や学校の実態」を十分考慮して行われる学校教育活動の条件整備をする事こそが教育行政に求められていることです。
学校で仲間とともに学び、活動できないことによる、子どもたちへの悪影響は、昨年の「一斉休校」で明らかになりました。また、保護者の生活にも多大の問題を生じました。

 子どもたちの学ぶ権利を保障しない、違法な学校教育ヘの介入をやめ、教育課程は学校において編成するという原則に立ち戻るべきです。

(以上)

大阪市の中学校歴史・公民教科書採択の結果について(市民の会見解)

大阪市の中学校歴史・公民教科書採択の結果について

2020年8月25日
戦争美化の教科書を子どもたちにわたさない大阪市民の会

PDFアイコン大阪市の中学校歴史・公民教科書採択の結果について

 大阪市教育委員会は8月25日、来年度から使用する中学校歴史・公民教科書について、前回2015年橋下市政のもとでの決定を転換し、育鵬社版歴史・公民教科書を不採択としました。

 戦争美化の教科書を子どもたちにわたさない大阪市民の会(教科書大阪市民の会)は、「学問的成果を踏まえず、子どもの発達段階を無視し、戦争を美化する特異な歴史観・政治的主張を子どもたちに押し付ける育鵬社版・自由社版教科書」が採択されなかったこと、「子どもたちにわたさない」との市民の願いが実現したことについて心から歓迎いたします。

 市民の声、教科書大阪市民の会等の要望を真摯に受け止め、検討された大阪市教育委員会の見識に改めて敬意を表します。

 前回2015年の育鵬社版教科書採択の際、教科書大阪市民の会は、戦争を美化し、憲法改悪をめざす教科書の採択に強く抗議しました。そして、「私たちは、育鵬社の教科書の内容を広く市民に知らせ、このような危険な教科書を子どもたちにわたしてはならないとの合意を広げ、保護者・市民と共同して、子どもと教育を守る取り組みを引き続きすすめる」、「次回の教科書改定には必ずこの決定を撤回させる」ことを表明しました。

 以降、5年間にわたって教科書大阪市民の会は、継続的に「育鵬社版教科書を読む会」を開催し、育鵬社版歴史・公民教科書を詳細に検討してきました。その結果を「ファクトチェック(歴史・公民)100」としてまとめ、育鵬社版教科書が、学問の成果に基づかず、いかに間違いが多いか、また、子どもの学習・理解を妨げるものであるかを具体的に指摘して、そもそも文部科学省が検定合格にしてはならない教科書であることを、広く市民に明らかにしてきました。そのため学習会、集会を開催してきました。この間、大阪市議会での教科書問題での陳情採択等の経過も踏まえながら、育鵬社版教科書を許さない取り組み交流会を開催し、大阪府下各地の取り組みとも連帯してきました。

 また、「サンフランシスコ市との姉妹都市解消」問題(2018年)、「あいちトリエンナーレ2019『表現の不自由展』中止問題(2019年)や憲法改悪をあおる吉村知事、松井市長の役割について、市民団体とともにその問題点を明らかにしてきました。

 これらの取り組みの上に、2020年5月29日大阪市教育委員会教育長に「中学校の歴史・公民教科書の採択にあたっての要望書」を提出し、以下の点を要求し、7月30日に交渉(懇談)を行いました。

中学校の歴史・公民教科書の採択にあたっての要望書

―学問的成果を踏まえず、子どもの発達段階を無視し、戦争を美化する特異な歴史観・政治的主張を子どもたちに押し付ける育鵬社版・自由社版教科書を採択せず、普通の教科書会社が発行する教科書を採択されるように要望します―

① 国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を原則とする日本国憲法の精神に反する育鵬社版、自由社版の教科書は絶対に採択しないで下さい。

② 本市の学校には在日外国人の子どもたちも多数在籍しています。諸外国との友好・連帯を何よりも大切にし、まかり間違っても、排外主義や嫌中、嫌韓感情を助長する教科書は採択しないように強く求めます。

③ 教室で実際の教育活動にあたる教師の意見に耳を傾けてください。

④ 教科書閲覧などを通じて、市民の声に真摯に耳を傾けてください。

⑤ 新型コロナ問題の先が見通せないなか、教職員や保護者や市民が教科書の検討を可能とする十分な閲覧会場と日程を保証してください。

⑥ 教育行政にあたる皆さんが、如何なる政治的圧力にも屈することなく、日本国憲法の精神と、良心のみに従って、教科書選定作業を行われるよう強く要請いたします。

 教科書大阪市民の会は、引き続き教科書の問題をはじめ、戦争美化、改憲誘導の教育の問題点を市民に明らかにしていきます。今後も、教育の場において子どもたちに「最善の利益」をもたらすように市民の立場から発信し行動していきます。

           戦争美化の教科書を子どもたちにわたさない大阪市民の会
                   代表委員 野竹 好孝・岩下美佐子