「障害のある子どもの学びの場の充実を求める要求書」を提出しました

大阪市学校園教職員組合(略称・大阪市教、全教加盟)は、6月8日、次の要求書を大阪市教育委員会に提出しました。

障害のある子どもの学びの場の充実を求める要求書

 貴教育委員会において、各学校長に対し「令和8年度をめどに全校に『通級による指導』の学びの場を全校に開設する方針」が4月初めに示され、「障がいのある児童生徒の学びの場の充実について」(5月30日付)が発出されました。

 2022年6月の「就学相談や自立活動等に関する研修」以降、各学校において、特別支援教育体制の後退への懸念が広がっています。研修の際に示された「障害の種類及び程度」により、特別支援学級への入級抑制が既に起きており、保護者や子どもの特別な教育的ニーズに応じた支援体制へのアクセスが妨げられています。また、通級指導教室が今年度新設された学校においては、「特別支援学級が複数も削減された」「教員が減ったことにより、特別支援学級、通級指導教室を含めた学校全体の特別支援教育体制に支障が出ている」という事態が起きています。

 私たち大阪市教は、これまで継続して、障害のある子どもの教育的ニーズに応じた特別支援学級・通級指導教室の設置と、障害のある子どもをふくめた全ての子どもが豊かに学べる学校教育の充実を求めてきました。教員配置の後退は、非常に問題であり大変危倶するところです。障害のある子どもが安心して学校生活を送り、個々の教育的ニーズに応じた教育を進めるためには、さらなる人的配置こそ求められるところであります。

 以上のことをふまえ、貴教育委員会においてはく障害のある子どもたちの発達を保障する教育の実現と、障害児教育に関わる教職員の勤務労働条件を改善するため、障害のある子どもの学びの場の充実に関する下記の事項について、誠意ある対応を行うことを要求します。

1.2023年度の特別支援学級設置状況について以下の点を早急に明らかにすること。

 (1) 特別支援学級数の増減の状況
 (2) 特別支援学級の減少や通級指導教室の新設にあたっての加配措置の有無
 (3) 特別支援学級からの学びの場の変更を行った児童・生徒数
 (4) 通級指導教室を利用する児童・生徒数

2.2024年度の特別支援学級設置計画の作成にあたっては、「障害の種類及び程度」を入級制限するものとして扱うことなく、子どもや保護者が必要とする教育的ニーズに応じた就学・入級の相談・決定を行うこと。特にLD・ADHDの子どもにおいても、子どもの実態に即した特別支援学級での学習を必要とする場合には、特別支援学級への入級も可能とし、その旨を各校にも周知すること。

3.2024年度の特別支援学級設置計画にあたっては、障害種別による学級設置と既定の学級定数を遵守すること。また、学校からの申請に基づき、障害種別での在籍が1人の場合もその種別での学級設置を行うこと。

4.通級指導教室を開設する学校において、特別支援学級からの学びの場の変更の強要が行われないようにすること。通級指導教室の設置を「受け皿」にするような特別支援学級への入級抑制、特別支援学級からの安易な学びの場の変更を行わないこと。

5.特別支援学級担任・通常学級担任ならびに特別支援教育コーディネーター・通級指導教室担当教員を含む教職員に対し、学びの場の変更を保護者に促すような役割を課さないこと。

6.特別支援学級からの学びの場の変更にともない、特別支援学級の設置に大幅な減少が生じた場合は、指導・支援体制の維持・改善のための加配教員を配置すること。

7.通級指導教室が、現状において既に過大・過密状態があることをふまえ。通級指導教室の基礎定数化が国により進められていることを念頭に、利用児童・生徒数13人を目安に1校への複数教室を設置すること。

8.障害のある子どもの学びの充実を各校で進めるためにも、特別支援教育コーディネーターを専任で配置すること。専任配置にあたっては、教員加配を行うこと。

9.特別支援教育サポーターを増員すること。

10.全ての子どもたちの発達が保障される教育の実現のために、「学力テスト体制」や「学校安心ルール」等による管理教育を改め、少人数学級の実現、教職員の増員等により学校教育を充実すること。

以上