年次休暇(年休)

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(1) 年次休暇(年休)

 ① 付与日数、期間等

  ・ 年次休暇は年間20日間で、期間は4月1日から翌年3月31日まで。
   (育児短時間勤務の職員及び再任用短時間勤務の職員については、勤務日数に応じて20日を下回る場合がある。)

 ② 中途採用者の付与日数

  ・ 採用月により次表のとおり付与。

    採用月  4月 5月 6月 7月
    付与日数 20日 18日 17日 15日

    採用月  8月 9月 10月 11月
    付与日数 13日 12日 10日 8日

    採用月  12月 1月 2月 3月
    付与日数 7日 5日 3日 2日

 ③ 取得単位

(技能労務職員(管理作業員、給食調理員及び事業担当主事補(以下「技能労務職員」という。)以外の場合)

 ・ 1日単位(※1)もしくは1時間単位

 ・ 1時間単位の年休は1日2回まで取得可。特別休暇、職務免除と1時間単位の年休を併用する場合は、合わせて3回を限度とする。

 ・ 1時間未満の端数が残っている場合でも、分単位での取得はできない。

(技能労務職員の場合)

 ・ 1日(※1) 、半日もしくは1時間単位

 ・ 1時間未満の端数が残っている場合でも、分単位での取得はできない。

 ・ 半日を単位とする休暇は、始業時から休憩時間開始時までの時間及び休憩時間終了時から終業時までの時間。

 ・ 育児短時間勤務職員等について、割り振られた1の勤務時間が5時間未満の日にあっては、半日休暇を付与することができない。

 ・ 1時間単位の年休は1日2回まで取得可。半日休暇と時間休暇、特別休暇、職務免除を併用し、割り振られた1の勤務時間中に取得する場合は、3回を限度とする。ただし、その場合、半日休暇と併用する時間休暇は、1回を限度とする。

 ・ 1時間単位で取得できる休暇は、1年につき、1日の勤務時間数(時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げる。)に5を乗じて得た時間数を上限とする。

 ・ 勤務時間の途中に1時間単位の年休を取得する場合は、毎時0分、15分、30分、45分を起点とする。

 ・ 給食調理員については、給食実施日においては、12時15分から終業時までの間を後半休とし、前半休の取得は認められない。

 ・ 給食調理員については、給食実施日においては、12時15分から17時00分の間に限り時間単位で取得できるものとする。

(※1) 原則として、7時間45分。ただし、半日(4時間又は3時間45分)単位で休日の振替日が設定されている場合は、残りの勤務時間(3時間45分又は4時間)が1日の勤務時間となるため、残りの勤務時間について、年休の取得が可能。

 ④ 申請方法
  ・ 教職員勤務情報システム(年次休暇申請)により請求。

 ⑤ 年休の繰り越し

  ・ 前年に付与された年次休暇を20日を超えない範囲内で、翌年に繰り越すことができる。

(育児短時間勤務の職員についてはP.37「育児短時間勤務における年次休暇の取扱いについて」を参照。を参照。)

  ・ 1時間単位の年休を取得したことにより、残日数に1日未満もしくは1時間未満が生じた場合は、20日を超えない範囲で、そのまま繰り越すことができる。

 ⑥ 年休の時季変更

 ・ 職員の請求する時季に年休を与えることにより、業務の正常な運営を妨げる場合においては、校園長は、他の時季に年休を与えることができる。

 ⑦ 年次休暇の年5日の取得義務ついて

 ・ 平成31年4月より、労働基準法の改正に伴い、年10日以上の年次休暇を付与される管理作業員、給食調理員及び事業担当主事補について、毎年4月1日から翌年3月31日までの問に年5日の年次休暇を取得させる義務が課せられた。

 ・ 5日の取得義務には半日単位の年次休暇(0.5日として扱う)は含まれるが、時間単位休暇は取得対象に含まれない。

 ・ 地方公務員法により、教育職員及び学校事務職員、学校栄養職員及び事業担当主事には適用されないが、校園長は労働基準法の改正の趣旨に鑑み、所属職員の年次休暇の取得勧奨に努めること。

・ (参考-1)  臨時的任用職員及び育児休業等任期付職員(以下「臨時的任用職員等」という。)から正規職員となる場合の年次休暇の繰越については、臨時的任用職員等を退職し、退職日の翌日から引き続き正規職員となる場合は、年次休暇を繰り越すが、1日でも任用期間に空白がある場合は、年次休暇を繰り越さない。

・ (参考-2)  公務・通勤災害の療養、育児休業又は介護休暇、産前産後休暇以外の理由によりその年度の全期間について休職又は休業していた職員については当該年度に係る年次休暇は付与しない。

 ⑧ 学校園から事務局(指導主事等)へ異動する場合の年次休暇について

(例)教頭から今年度指導主事へ異動した場合
 異動の日から次の3月31日までは、異動する日に残っていた日数とし、次の4月1日から5月31までの間においては、異動日の次の4月1日に残っていた日数に3日を加えた日数とする。(ただし、40日を超えることはできない)

※ 異動の日が4月1日の場合、当該職員の年次休暇は4月1日に残っていた年次休暇に3日を加えた日数とする。
P.56「年次休暇の付与日が異なる部署へ異動した場合」参照)

 ⑨ 事務局(指導主事等)から学校園へ異動する場合の年次休暇について

(例)指導主事から今年度教頭へ異動した場合
 異動の日から次の5月31日までは、その異動の日に残っていた日数(繰り越しを含む)とし、異動の日の次の6月1日から翌年の3月31日においては、異動の日の次の4月1日に残っていた日数に17日加えた日数とする。(ただし、40日を超えることはできない)

※ 異動の日が6月1日の場合、当該職員の年次休暇は6月1日に残っていた年次休暇に17日を加えた日数とする。
 (P.56「年次休暇の付与日が異なる部署へ異動した場合」参照)

Q&A集(2024年3月更新)抜粋より

Q5  育児休業や病気休職などから復帰、復職する場合の年次休暇はどのような取扱いか。

A5  ①昨年度の途中から今年度の途中に休職(休業)した場合は、昨年度勤務実績があるため、昨年度の残日数と今年度に付与される日数とを合計した日数となる。

例)2021年10月1日に休職、2022年9月30日復職

 2021年4月1日 20日付与
      ↓   この間5日使用
    10月1日休職
 2022年4月1日 休職中のため付与は行いません
    9月30日復職
   昨年度15日+今年度20日=35日付与
 復職・復業時に前年度の残日数と当該年度の付与日数が付与されます。

②昨年度のすべての期間を休職(休業)した場合は、休職する前の残日数にかかわらず、休職した年度と復職(復業)する年度の付与日数の合計となる。※

例)2022 年1月4日に休職、2022 年4月1日復職

 2021年4月1日 20日付与
      ↓   この間10日使用
 2022年1月4日休職
 2022年4月1日 休職中のため付与は行いません
      ↓   10日残→繰越しない
 2023年4月1日復職
   昨(2022)年度付与及び今年度20日=35日付与
 復職・復業時に前年度の残日数と今(2023)年度の合計日数。※

 復職・復業時に前年度の残日数と当該年度の付与日数が付与されます。

 ※公務・通勤災害の療養、育児休業、介護休暇、産前産後休暇・・前年度の20日も付与

  病気休暇、病気休職、配偶者同行休業等の上記以外の場合 ・・当年度の付与のみ

☆復職及び復業の際に、教職員勤務情報システムにおいて、年次休暇の残日数を調整していただくようお願いします。

Q6 4月1日~9月30日まで任用されている。今後10月1日から3月31日まで任用される予定だが、その期間の年休を4月1日からの任用期間に使用することはできるのか。

A6 任用期間の最初の日(10月1日)に付与されるため、使用できません。

■■解説 大阪教職員組合『闘いの年輪』より■■

〈形成権(届)〉

 年休は、労基法上は、初年度10日とし、上限は20日となっている。私たちの権利として、初年度から、20日の年休が付与されているのは、47年の文部省と日教組で交わした労働協約によるところが大きい。

 73年3月2日、最高裁第2小法廷は、年休が形成権であることを認め、年休を「いつ」「いかなる目的で」利用しようとも労働者の自由であることを確認した。つまり年休を、法律上、当然に生ずるものとして「承認不用論」を、さらに、年休の利用目的は、労基法が関知しないところだから、「使用者の干渉を許さない労働者の自由」とのべ、時季変更権については、「客観的に」事業の正常な運営を妨げる事由の存在と「事業の正常な運営を妨げる」か否かは当該労働者の所属する事業場を基準として決すべきだとしている。
 これをもとに、日常的に、職場での年休取扱いを点検し、承認制、理由欄の明示、年休の一方的時季変更などがおこなわれてないかをチェックする必要がある。

形成権説

 具体的な年休日は、労働者の請求によって決まり、使用者の承認の有無は必要でない。

全林野白石、国労郡山両事件最高裁判決(73.3.2判決)

 「年休の権利は、労基法39条1・2項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって初めて生ずるものではなく『請求』とは、休暇の時季の『指定』にほかならない」とし、「使用者が時季変更権の行使をしない限り、右の指定によって年休が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。すなわち、これを端的にいえば、休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を解除条件として発生するのであって、年次休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』やこれに対する使用者の『承認』の観念を容れる余地はないものといわなければならない。

北教組・夕張高校事件最高裁判決(86.12.18)

 最高裁判所は、公務員共闘、日教組、北教組が65.4.20に実施した春闘全国統一行動(3割休暇の集会参加)で、全国でただ1校処分された夕張南高校事件について、5名の年休行使は正当なものとして札幌地裁、札幌高裁に続き、全面勝訴の判決を下した。

 争議行為概念の乱用とそれによる安易な年休権否認が厳しく戒められたこの判決は高く評価できるものである。