テスト漬けのサイクル確立 総合教育会議

テスト漬けのサイクル確立

総合教育会議 「学力向上に向けた総合的な制度構築」

   平成30年度第3回大阪市総合教育会議開催結果(大阪市HP)
      ↑録画映像へのリンクもあります。

   資料 学力向上に向けた総合的な制度構築について(PDF)(大阪市HP)
   資料 西村事務局顧問 説明資料(学力向上推進モデル事業における取組の進捗)(PDF)(大阪市HP)
   資料 大森特別顧問 提案資料(学校・校長及び教職員を対象とする新たな表彰制度等について(提案))(PDF)(大阪市HP)

テスト結果の向上度で 人事評価 教員カルテ構築

 教育委員、吉村市長、大森特別顧問が参加する総合教育会議(第3回)が1月29日に開催され、「学力向上に向けた総合的な制度構築について」(以下、「総合的な制度」)が決定されました。30日の新聞は、「テスト結果で校長評価 大阪市教委方針 賞与・昇給反映」(朝日)、「学テ結果で教員評価断念 大阪市 地方公務員法抵触恐れ」(毎日)と報じましたが、重要な内容を伝えていません。
 「総合的な制度」の本質は、「全国学力・学習状況調査における目標の達成に向け」「各種学力調査による学びの検証改善サイクルを確立」として、「振り返りプリント③」→全国学テ→「振り返りプリント①」→全国学テの結果を踏まえた教員研修→チャレンジテスト→「振り返りプリント②」の、「外部テスト」対策の年間取組を求める、テスト漬けのサイクルを確立することです。(資料 学力向上に向けた総合的な制度構築についてP3)

校長の人事評価に反映

 そして、「学力向上にかかる客観的数値に基づく行政評価(組織目標)と人事評価の関連付けにより、継続的に成果を挙げることを目指す」、「経年調査・チャレンジテスト結果の前年度からの向上度を学校評価の全市共通目標のひとつに位置づけ、校長のマネジメントのもとで学校全体で目標達成に向けた取組を行う。」とし、校長について、「上記結果を学校運営及び組織マネジメントに責任を負う校長の人事評価に反映。(具体的には、上記の全市共通目標の目標を目標管理の1つの項目として設定。)」としています。(同資料P6)

 学校教育の目標(学テの点数)を市長・市教委が決め(PLAN)、プリント学習を強要し(DO)、学テを実施し(CHECK)、「結果」に対して「責任」負わせる=人事評価(ACTION)、新自由主義の教育政策PDCAサイクルを確立するものです。

学力向上指標策定できず

 大森不二雄大阪市特別顧問が提案した、「新たな人事評価制度と学力向上データの利用について」では、「本市では、学力の高さではなく、学力の向上度を評価すべき」として、「公正・公平で客観的なデータ指標として学力向上度を測る指標を開発する」、「その基礎となる教育ビッグデータシステムの構築を加速する」とし、学力向上指標を向上させた大阪市上位2・5%の教員をSSと評定するとしていました。

 しかし、「総合的な制度」では、「子どもの学力に影響を与える要因は様々あり、学力向上指標(付加価値)を教員の授業指導力のみを表す指標とするには、それ以外の環境要因を排除する必要があるが、現状では下記の課題がある。○国においても考慮すべき要素(経済的・過程的要因)についてのコンセンサスがない○考慮すべき要素についてのデータ収集が困難である○習熟度別少人数授業における学級編成上の問題(単元ごとに学級編成を変更している学校がある)」ことを理由に、「当面の間、学力向上指標(付加価値)においては、環境要因を考慮しない。」としました。(同資料P5)

 「考慮しない」ではなく、出来ないのです。「家庭や経済力の差といった指導力以外の要因を排除できず、公正な人事評価を定めた地方公務員法に抵触する恐れがあるとして導入を断念した。」と毎日が書きました。

教員の人事評価 テスト結果活用

 地公法違反の指摘を避けるために教員への活用については、「人事評価において参考とする」としましたが、今年度からの新人事評価制度はテスト結果で教員を評価できる制度です。事実、学力経年調査の点数を上げる数値目標を設定させられた例があります。

教員カルテ構築

 「総合的な制度」では、「教育委員会から各学校へ小学校学力経年調査・中学生チャレンジテストにおける教員毎の前年度からの結果の伸びを示す差分平均を提供し、校長は、当該差分平均を各教員の授業力向上にかかる指導助言に活用するとともに、人事評価において参考とする」としています。(同資料P7)

 しかも、「学校評価WGや教育ビッグデータ活用検討PTにおいて、授業手法と学力との関係分析を進め、適正な根拠となる個々の教員のデータ集積を進め『教員カルテ』を構築し、完成した段階で改めて人事評価制度を設計」としています。(同資料P6)

教育を破壊する制度 これでいいのか

 学校教育の目標が学力テストの点数=数値目標に一面化され、子どもの成長・発達など顧みられない、まさに教育を破壊する「総合的な制度」と言わざるを得ません。

 「大阪市の中3生は年間で13回ものテスト漬け」との大阪市教の指摘に市民の怒りが広がり、「これでいいのか大阪の教育」との教育懇談会、学習会が各地で開催されています。

2.1教採突破講座➄募集(2月1日)

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 Webからの申し込みはこちら(講座終了)

2019年度 教採スタート交流会
2.1 教採突破講座➄ 募集

 大阪市教員採用テストの二次試験の結果発表が昨年10月19日にありました。 残念ながら不合格だった方から「仕事も試験も頑張っているのに…なぜ?」などの声も寄せられています。

 本当に大変な大阪市の教育現場を支えている講師の方こそ採用されるべきと私たちは思っています。来年度の合格を勝ち取るために、今年度の教員採用試験を振り返ります。また、合格された方の合格体験記、採用試験の成功談、失敗談、採用制度の改善への要望などを交流します。

 今年度の教員採用試験に一区切りをつけ、来年度に向けて再スタートを切りましょう。

 また、職場でもなかなか話ができない講師の思いや不安を出し合う交流の時間も予定しています。 臨時教職員のみなさん、また正規教職員の方の参加もお待ちしています。

☆ 申し込み方法
 下記の申し込み用紙を市教本部にファックスするか大阪市教のホームページから申し込んでください。
 参加費は1000円です。(大阪市教の組合員の方は無料です。)

日時 2019年2月1日(金)18時45分~
会場 アネックスパル法円坂 3階8号室
内容 ① 大阪市教員採用試験の振り返り、合格者の体験
   ② 教採制度・教採突破講座への要望
   ③ 教育現場での臨時教職員の思いや不安、要求の交流

主催 大阪市学校園教職員組合(大阪市教)・臨時教職員部
tel. 06-6910-8700
申し込み用紙  FAX 06-6910-7990
お名前(ヨミガナ)(         )
現職場名(             )
連絡先(携帯番号            )
紹介者(          )

しゃべり場!第2弾「リアルな話! 道徳をどう実践していく?」(11月2日)

2018 しゃべり場! 第2弾
今回のテーマ 「リアルな話! 道徳をどう実践していく?」

日時 2018年11月2日(金)午後6:30~8:30 頃
場所 福島区民センター 303号室

内容①『特別の教科 道徳』実践交流・課題交流
    (教材、評価、課題、それによる多忙化など)
  ②2、3学期を見据えてどう向き合っていくか
    (民主的道徳の視点、実践事例など)

 迷いながら日々の忙しさの中、なんとか実践しているそこのあなた!
 若手~ベテランで学び合おう!答えは見つかる。ぜひ、ご参加を☆
※これまでに実践した資料を持って来ていただけるとより深まります。
 よろしくお願いします。(個人情報の取り扱いにはくれぐれご注意ください)

第18回ママ友会議を始めます (12月22日)

みんなどうしてる?
第18回ママ友会議を始めます

「来年復帰するけど、みんなどうやって仕事と家庭回してるの?」
「市の職員になって給料や権利はどうなったの?」

 育休中、復帰した子育て中のあなたの疑問に答えます。組合員さんだけでなく、お友達もご一緒にお越しください。

 もちろんお子さんと一緒にお越しください。保育もあります。
 困っていること、悩んでいることにも相談にのります。
 子育て中の教職員が集まります。プレママさんも歓迎。楽しく交流しましょう。

日時 12月22日(土)午後1時~3時

場所 アネックス法円坂3F和室

※お土産もあります。

大阪市教 女性部

南大阪支部 学習交流会2018 その1音読指導(11月9日)

大阪市教・南大阪支部 支部学習交流会2018 その1

どうしてる?音読指導

★2学期も忙しい日々が続きますが、子どもたちの活躍する姿を見る事ができる行事がワンサとあり、様々なドラマが生まれる時期でもあります。そんな中で、今回は学力の墓礎基本「音読指導」について学習します。

◆音読指導ってどうしてる?子どもに「読み」の力をつけるにはどうすればいい?子どもが楽しんで音読に取り組むには?
 音読や群読の方法を知りたいなどなど…。

❤音読をテーマに「悩み」「工夫」「おもしろ話」など、日ごろの学級での指導の交流もできれば…。
 ぜひ、職場の方も誘って一緒に参加してください。

講師 松本喜久夫さん(元大阪市小学校教員)

日時 2018年11月9日(金)19時~21時

場所 西成区民センター(大阪メトロ 四つ橋線「岸里」駅下車すぐ)

第27回 大阪市教 教育研究集会(10月13日)

第27回 大阪市教教育研究集会
今こそ学び、つながり合う、学校園を

日時:10月13日(土)(13:30~18:00)
会場:アネックスパル法円坂

組合に加入していなくても参加できます。無料です。

日程
10月13日(土)
13:30~ 受付開始(※保育あり)
14:00~ 分科会
16:00~ 記念講演

14:00~ 分科会

「平和について語り合おう」&「絵本の読み聞かせの実践」

“行く”をキーワードに「平和」について語り合いましょう。行って経験したことを子どもにどう伝えるか。アウシュビッツや平和ツアーで感じたことの報告。

「戦争って何?」子ども達に絵本を通して考えさせる実践レポート。
皆さんの平和への思いを交流しましょう。

「子とも楽しむ10の映画」

映画の世界へようこそ!学期末に子ども達と映画を観ています。これまでに、「ベストキッド」、「サウンドオブミュージック」、「ヘレンケラー」等々。忙しい毎日ですが、私の大好きな映画の世界.文化を子ども達にも味わってもらっています。いい映画との出会いがありますよ!

『やってみよう!健康教育』

「給食を全然食べない」「夜更かしばかり」「教室の雰囲気が悪い」.そんな悩みはありませんか? 自分たちの生活(食べる・睡眠・性教育)や、社会(公害・原発・エイズ)から授業をつくる健康教育は、そんな子にぴったりです。『しんどい子』が授業にのめり込み、輝く授業をたくさん紹介します。どの学年からでも始められます。

『学べば元気! 子ともと楽しむ障がい児教育』

小学校の特別支援学級の実践から子どもの気持ちに寄り添い、発達を保障する教育を考えましょう。障がいのあるなしに関わらず学校の中で「困っている」子への支援や学校体制などで悩まれている方へのよろず相談も行います。

『トレーニング理論とキックボクササイズ』

生き生きとした毎日を過ごしたい!との思いをお持ちの方、自分の体と向き合える楽しい時間を過ごしましょう。ドキドキ必須のトレーナーが指導してくれます。輝いた笑顔で子ども達と接するために、免疫力を高め.健康になりましょう。

講師 上村昂輝さん(フィットネススタジオ天満グルービー代表)

『会計年度任用職員』制度ってなんだ?

学校現場には、多くの非正規雇用の教職員が配置されていますが、そのいずれもが大変劣悪な処遇の下、正規職員と同等の基幹業務を担っています。2020年度導入予定の「会計年度任用職員」制度とは何か?この制度が、これらの処遇の改善につながるのか否か、等々のご講演、意見交換を行います。

講師 仁木将さん(大阪自治労連)

『子どもの発達のお話&親子でできる体操』(仮題)

幼児期から学齢期にかけての心のありようを学習し、体を使った親子体操で心と身体の絆を深めましょう。※運動のできる服装でお越しください。

講師 永谷孝代さん(大阪健康福祉短大)

16:00~ 記念講演

○記念講演 道徳教育のべクトルを変えよう(仮題)

○講師 渡辺雅之 氏(大東文化大学教育課程センター准教授)

主催 大阪市学校園教職員組合

学テ結果・人事評価反映反対 組合員集会(10月11日)

 組合員集会の案内チラシのダウンロードはこちら(PDFファイル)

小3~中3テスト漬け
子どもも教員も「数値」管理!
学テ結果・人事評価反映反対 組合員集会

 校長は全国学力テストで評価、教員はチャレンジテスト(中)、学力経年調査(小)で評価。新人事評価制度を今年度内に策定し2020年度評価結果を2021年度反映。吉村洋文市長は大阪市総合教育会議(9月14日)で強引に確認しました。

(ニュース「大阪市教」9月17日付参照)

 教育を歪める「テスト漬け」、教員の数値管理を撤回させる取り組みをすすめるため組合員集会を開催します。

講演:小野田正利さん(大阪大学教授)

本部から経過報告・行動提起

○日時:10月11日(木)18時30分

○会場:アネックスパル法円坂・ホール (大阪市教の書記局所在地)

小3~中3テスト漬け 子どもも教員も「数値」管理(総合教育会議)

「大阪市教」 学テ・人事評価反映 2018年9月17日

 このニュースのダウンロードはこちら(PDF)

小3~中3テスト漬け 子どもも教員も「数値」管理

校長は全国学力テストで評価
教員はチャレンジテスト(中)、学力経年調査(小)で評価
新人事評価制度を今年度内に策定-2020年度評価結果を2021年度反映

大阪市総合教育会議(2018年9月14日)

 大阪市は9月14日、「平成30年度第2回大阪市総合教育会議」を開きました。総合教育会議は「市長と教育委員会が、相互の連携を緊密にしながら、 地域の実情に応じた教育行政を推進するため」(設置要綱)の協議、事務の調整を行うものですが、会議の実際は、吉村洋文市長の「全国学力テストの目標の達成・未達成を業績評価などに反映」させる意向、大森不二雄大阪市特別顧問の「新たな人事評価制度と学力向上データの利用について(提案)」(以下「大森提案」)への同意を教育委員に迫る異常なものでした。

評価の客観的な指標が作れるのか
地方公務員法違反の疑義

 総合教育会議で森末尚孝教育委員(弁護士)は「客観的な評価制度が必要であることと、学力向上が教員、教育現場全体の非常に大きな大事な仕事であることは共感。ただ法律家として若干の悩みがあり」とし、地方公務員法にも触れながら、「評価の客観的な指標が作れれば、あとは流れていくし賛成。指標が本当に作れるのか、すごく議論しデータを取りながら因果関係も含めてきちっと押さえないと、あとすべて砂上の楼閣になる可能性があるので、ビッグデータの活用も含めて慎重に慎重に基礎を固めて、その上に次の評価をする。指標をきっちりしないと地方公務員法違反じゃないかという疑義も生じてくるので、きちっと固めて具体的な項目をつめていく作業が必要」と発言しました。これに対して、大森特別顧問は、「森末委員から指摘の法的な(問題)、これで法的な問題があるという弁護士がいるなら、ここに連れてきて議論したいと思っている。」(ざわめきが起こる)「まじめにそう思っています。地公法のどこにそんなことが書いてあるんだ。政策判断に立ち入りすぎですよ、それは。」と声を荒げました。

パフォーマンスペイ
経済学ではコンセンサスがない

 市長は「提案してからいろんなメディアで批判されたが、アメリカや諸外国の制度ではすでに教員の評価にインセンティブはマイナス効果が立証済み、確定している、今更やるのは時代錯誤だと言われている、それは事実なのか、研究の経過を教えていただきたい」と、「学校・教員に対する金銭的なインセンティブが児童・生徒の学力に与える影響-経済学の研究成果から-」(資料5)を提出した慶応大学の中室牧子准教授に問いました。

 中室准教授は、「一言で申し上げますと、パフォーマンスペイが子どもの学力にどういう影響を与えるかということについて、現在経済学ではコンセンサスがないという状況だろうと思います。」と答えました。

金銭的インセンティブは、モチベションを上げないケースもある

  また、中室准教授は、「経済学の分野でパフォーマンスペイについて、いくつかの有力な批判があって、一つは学力テストの対策をやりすぎるがあまり、学力の低い子を欠席させたり、実際アメリカの研究で明らかになっていますが、教員がテストの結果を書き換えたりしているという事案があり、そういったことが起こらないように十分な注意を払う必要があるという点と、もう一つは実は金銭的インセンティブは、必ずしも、いま目の前にある仕事を一生懸命やりたいという内的なモチベーションを上げないというケースもあることが指摘されている。分かりやすい例で、献血やボランティアにお金を払うとかえって来る人が減ってしまった。お金を与えられるとかえってモチベーションが下がってしまう、ということが観察されている。金銭的インセンティブが教員のモチベーションを下げないことが重要。」と指摘しました。

「恐怖感を与える」「大学生が逃げる」
慎重な議論、教職員の納得必要

 巽樹里教育委員(大学講師)は、「教員が授業し、教員が生徒を見ていくので、教員のモチベーションを下げるような施策を導入することはよくないと思っている。ある程度教職員が納得、プレッシャーとか不安とか、言葉は悪いんですが、恐怖感を与えられるような、無理くりの制度は今すぐに突っ込まない方がいいのではないか。慎重な議論を重ねた上で、ある程度教職員が納得して導入していくべき」「大学生で大阪市で働きたいと希望している人が、言葉は悪いんですけれども逃げていくのではないかとの危惧がある。減額は賛成ではなく、どう支援していくか、一緒に教育委員会と教員で高め合っていく。頑張っている教員は評価する。」と述べました。

学力テストによる人事評価制度の策定を「確認」

 吉村市長は、「皆さんのご意見を踏まえて、今日で決定する話ではないので、じっくり考えたい」としながら、「確認しておきたいのは、客観的な指標として経年調査やチャレンジテストを使ったデータに基づいて、付加価値を上げている先生、そうじゃない先生、ここはきちっとデータ化して教員の人事評価に反映させる、これは是非やるべきだと思います。大森顧問提案の『教員別学力向上指標』をしっかり作って、評価する。まずこのことを確認したい。一方で、対象とならない先生をどう評価するのかついて、教育委員会でたたき台というか案を考えてもらいたい。まったく一緒はできないとわかっていますから、できるだけ公平、公正な評価制度をつくっていこうという趣旨ですので。大森顧問の提案をベースにしながら数値目標の立て方について進めていきたい」と、学力テスト結果=「数値」による人事評価制度の策定を「確認」しました。

※    ※    ※

 朝日新聞9月15日付は、「ただ会議では、『教員を志す学生が逃げる危惧もあり、減額する評価は避けてほしい』(巽樹里教育委員)▷「成績と金銭を結びつける手法は海外で例があるが、成績が上がった例も下がった例もある。制度設計が大事だ」(有識者として出席した中室牧子・慶応大准教授)などの指摘があった。」と報じました。

校長は全国学力テストで評価
教員はチャレンジテスト、経年調査で評価

 吉村市長は、「学テで見れるのは生徒一人ひとりというよりは、全国的に見てその学校が去年よりどれくらい上がったのか、ということの指標になる。全国的にみて大阪市が上がっているのか、下がっているのか、学校単位で見た時に、校長先生がマネジメントして上げていくことが重要なことだと思うので、校長先生について、人事評価をする。教員については学テではなく経年調査を見て付加価値を基準にしながら数値、評価軸を作っていく。」と述べました。

 市長は最後に、「スケジュール感が大事。2019年度に評価を試行的に実施する。今年度中に制度設計を行い、2019年度に試行実施し課題を検討、2020年度に実施し、2021年度から反映させるスケジュールで進めていきたい」としました。

教員別学力向上指標
全市教員の上位2.5%SS 10%に入る者はS以上

 市長が述べた「大森顧問の提案の『教員別学力向上指標』」は右掲のとおりです。(Webでは↓)

 教員別学力向上指標で大阪市の全教員を並べ、上位2.5%SSと評定するとしています。「『子どもの学力・体力に貢献する業務』については、『教員別学力向上指標(仮称)』の対象となる教員に対しては、特定の学年の対象教科の授業を担当する全市の教員(小学校については対象4教科の担当教員全員、中学校については教科ごとの教員全員)のうち、同指標の数値が上位2.5%に入る者はSSと評定し、それに次ぐ10%に入る者はS以上と評定する、という基準を適用することが考えられる。」としています。
(P4、左、④参照)

■資料

「新たな人事評価制度と学力向上データの利用について」(提案)

大阪市特別顧問 大森不二雄

<抜粋>

2.学力向上指標の開発について

(1) 指標開発の趣旨

  本市では、学力の高さではなく、学力の向上度を評価すべき

  公正・公平で客観的なデータ指標として学力向上度を測る指標を開発すること、並びに、その基礎となる教育ビッグデータ・システムの構築を加速することを提案する。

(2) 教員別学力向上指標(仮称)

  大阪市小学校学力経年調査…大阪府の中学生チャレンジテスト、大阪市中学校3年生統一テスト

  これらの学力調査・テストの結果において、児童生徒一人ひとりの正答率や得点などをどれだけ向上させたかは、これらの教科における児童生徒の学習成果及び教員による指導の成果を全市共通の尺度で客観的に評価できる重要な指標である。そこで、これらの学力調査・テスト結果のデータを活用し、該当教科の授業を担当した各教員(教諭又は主務教諭)が当該年度に担当した児童生徒たちの学力を前年度の同じ児童生徒たちの学力と比べてどれだけ向上させたかを測定する客観的指標(以下、「教員別学力向上指標(仮称)」という。)を開発し、施策に活用するものとする。

別紙1:一般教員(教務及び主務教諭)の人事評価制度(試案)

 【評価方法】

①「業務領域」は、全市共通目標としての2つの最重要目標に基づく「子どもの安心・ 安全及び成長に貢献する業務」及び「子どもの学力・体力に貢献する業務」、並びに、「広く学校運営に貢献する業務 (同僚への支援・協力を含む)」の3領域によって構成される。

②領域ごとに「挙げた業績」と「発揮した能力」各々について、次の5段階評価により 評定を行う。SS(極めて優秀)S(優秀)A(良 好)B(不十分)C(極めて不十分)

③「挙げた業績」及び「発揮した能力」いずれも、可能な限り客観的な評価(誰が評価者であっても同じ評価になる可能性が高いという意味での信頼性が高い評価)により評定するものとする。このため、評定の根拠を具体的に明記すること 。

④教育委員会は、可能な限り客観的な評価基準を作成する。

 客観的基準の例として、例えば、大阪市教育振興基本計画の定める全市共通目標としての二つの最重要目標に基づく業務領域のうちの一つである「子どもの学力・体力に貢献する業務」については、「教員別学力向上指標(仮称)」の対象となる教員に対しては、特定の学年の対象教科の授業を担当する全市の教員(小学校については対象4教科の担当教員全員、中学校については教科ごとの教員全員)のうち、同指標の数値が上位2.5%に入る者はSSと評定し、それに次ぐ10%に入る者はS以上と評定する、という基準を適用することが考えられる。また、教育委員会は、同指標対象外の教員については、教科等の特性を踏まえた客観的評価基準の作成等により、同指標対象外の教員については、教科等の特性を踏まえた客観的評価基準の作成等により、同指標対象教員との公平性及び対象外教員間の公平性を確保する。同指標の対象・対象外を問わず、授業アンケート結果の活用についても検討すべきである。

(注)小学校3~6年の国、算、社、理、中学校1~3年の国、社、数、理、英の授業担当教員が「指標対象教員」。チャレンジテストの対象となっていない中学1年の社会、理科は大阪市が学力調査を実施する方向で検討。

小3から中3までテスト漬け
子どもも教員も「数値管理」

 大阪市の子どもたちは今でもテスト漬けの状態です。小学校3年生から毎年「得点がどれだけ向上したか」が求められ、教員はその指導を強いられ、教育の目標が学力テストの点数=数値目標に一面化されます。子どもの内面世界の豊かな発達は切り捨てられます。

 教員は数値指標管理され、全市教員が相対評価され、モチベーションは下がり、専門性に依拠した教育的価値の探求など望むことはできません。

 教育委員も指摘した「評価の客観的な指標が本当に作れるのか」に対する説得的な説明はありません。「ある程度教職員が納得して導入していくべき」との指摘がありましたが、現場教職員の話を聞かず「意識を変えるだけで成績は上がる」という市長の提案に納得が広がるはずはありません。

 大阪市教は大教組、子どもと教育・文化を守る府民会議とともに9月13日、市長と教育長あてに、学力テスト結果を勤勉手当、学校予算に反映させることをやめるように求める400団体(第一次)の緊急要請書を提出しました。大阪市への批判はさらに広がっています。

 OECDは9月11日、教育への公的支出について日本が最下位であることを公表しました。大阪府・市は全国の自治体の努力で進んでいる少人数学級をかたくなに拒否しています。教育行政がやるべきことは教育条件の整備です。

 「教育ビッグデータ・システムの構築」の名によるいっそうのテスト漬け、競争主義の教育をやめること、教育を歪める「新たな人事評価制度」の撤回を求めます。

育鵬社教科書を許さない取り組み交流会(10月24日)

安倍9条改憲、「戦争する人づくり」を許すな!
育鵬社教科書 -大阪府の5市採択3年-

「道徳」の押しつけを許さない 取り組み交流集会

 日本会議系中学校道徳教科書「日本教科書」の大阪での採択はありませんでした。市民的な取り組みの成果です。しかし、「道徳」の押しつけを許さない取り組みは続きます。

 育鵬社の教科書が大阪府5市で採択され3年が経ちました。各地で批判的学習会など取り組みが続いています。次回採択も視野に入れ、取り組み交流集会を開催します。

講演:平井美津子さん(教科書大阪ネット21事務局長)

報告:東大阪市など各地の取り組み

日時 10月24日(水)18時30分

会場:アネックスパル法円坂(大阪市教の書記局所在地)
JR環状線・森ノ宮、地下鉄谷町四丁目

■主催団体:育鵬社教科書を許さない取り組み交流会

「戦争美化の教科書を子どもたちにわたさない大阪市民の会」が呼びかけ、育鵬社教科書採択自治体の教職員有志、教育団体有志、教科書関係団体有志が参加しています。

(連絡先 大阪市教 ℡ 06-6910-8700)

全国学力調査結果を学校予算や教員賃金へ反映することをやめ、教育条件整備を求める緊急要請

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大阪市長 吉村洋文 様
大阪市教育長 山本晋次 様

全国学力調査結果を学校予算や教員賃金へ反映することをやめ、教育条件整備を求める緊急要請

 日頃より大阪市の教育活動の充実へご尽力いただきありがとうございます。

 さて、吉村市長は8月2日の会見において、「『全国学力・学習状況調査(以下、全国学テ)』に具体的な数値目標を設定し、その結果の達成状況に応じて校長、教員のボーナス(勤勉手当)や学校に配分する予算額に反映させる制度の導入を目指す考え」を示しました。

 これは全国学テの結果を用いた教育行政による違法な学校教育への介入です。この制度を導入すれば、子どもと教職員・学校は、全国学テによる競争を強いられ、管理と統制がいっそうすすみます。それでは学力が向上するどころか、不登校や校内暴力行為の増加など、学校の「荒れ」の深刻化につながります。そして、学力の一側面でしかない全国学テの達成状況のみが目標とされ、子どもたちの豊かな発達に悪影響を及ぼします。

 文科省による結果分析では、「子どもの学力が高い」のは「親の年収や学歴が高いほど」であり、「幼少期に本の読み聞かせをしてもらった子」とされています。時間はかかりますが、市民の経済・生活を底上げし、保護者が子育てにもっと力を注げるようにすることこそ大切であり、それこそ行政の仕事です。また、「好成績の学校は少人数指導のとりくみが進んでいる」こともわかっています。少人数指導の効果は非常に大きく、このような教育条件整備こそ市長の権限でやるべきことです。

 そもそも全国学テは、子どもたちの学力や学習状況を把握するための「行政調査」であり、学力の一側面しか測れないものです。これまでに「行政調査」を教職員の給与や学校予算等に利用した国・自治体では、どれもが破綻しています。

 イギリスでは、ナショナルテストの結果を1990年代に学校別に公表し、それが子ども・教員・学校を競争にさらし、テストのボイコットやカンニングの増加、管理職のなり手がおらず、管理職不在の学校が多数生まれました。また学校選択制により在校生が減り、廃校に追い込まれる学校も出てきました。アメリカ・テキサス州では、事前にテスト問題を解かせ、点数の悪い児童・生徒を当日のテストから除外したり、テストの際には、間違った回答をしている児童・生徒に指さしで指示をしたりすることが起こりました。これと同様のことが2007年に東京都足立区でも起こっています。この件に関して後の調査で、教職員のみならず、校長、教委、教育長までが加担していたことが明らかになりました。これらは、テスト結果を利用し、教職員への管理と統制を強めたことが引き起こしたものです。このように、今回市長が表明した施策は破綻済みです。また、同時に提案されている大阪市教委の4ブロック化は、学校現場への管理統制を強めるものであること、8つ程度の中高一貫校の創設は、義務教育段階からの学校教育の複線化、一部「エリート」の選別をねらうものであり、合わせて断じて許すことはできません。

 上記の趣旨により、以下のことを強く要求します。

○全国学力・学習状況調査結果を、教員の勤勉手当、学校予算に反映することをやめ、少人数学級の拡充など教育条件の整備をすすめること

以上

2018年 月 日

団体名

代表者