「全校休校措置」に関する緊急申し入れ

「全校休校措置」に関する申し入れ

 大阪市教は3月9日、大阪市教育委員会に「『全校休校措置』に関する緊急申し入れ」を行いました。科学的根拠に基づかない唐突な発表による一斉休校が行われ、一週間が経過し、子どもの学習権(教育への権利)、学校の混乱、保育所、学童保育、保護者の休業補償など様々な問題が起こっていることから、申し入れたものです。

「全校休校措置」に関する緊急申し入れ(PDF)

①医学的、科学的根拠、教育保障の観点を踏まえた対応を教育行政として行うこと②唐突な臨時休業の延長、学校の再開で混乱が起きないよう現場の意見を聴くこと③経済的困窮、学童、障害のある子の居場所の確保
④給食業者等経済対策
⑤教職員の加配置、柔軟な服務

以下は申し入れの内容です。(PDFと同じ内容です。)

======================

2020年3月9日

大阪市教育委員会
教育長 山本晋次 様                               
大阪市学校園教職員組合
執行委員長 宮城 登

「全校休校措置」に関する緊急申し入れ

 第2回大阪市新型コロナウイルス関連所属長連絡会議は、2月27日午後4時30分からの会議で、大阪市立幼稚園・小学校・中学校の2月29日(土)~3月13日(金)の間の臨時休業を決定しました。同日のこの後に安倍首相が、新型コロナウイルス感染症対策として、「全国の全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について3月2日から春休みまで臨時休校を行うよう要請する」との発表を行いました。大阪市立の高校については、2月28日(金)に、4月7日(火)まで教育活動等(部活動を含む)を行わないこととする通知が大阪市教委より発出されました。

 唐突な発表による一斉休校を要請された期間は、年度末を迎え、幼児・児童・生徒の将来に関わる進路決定や一生の思い出となる行事なども予定されており、幼児・児童・生徒の安全確保や授業、学校行事、入学試験への対応等について多くの課題が生じ、大きな混乱を招いています。また、多くの保護者から「仕事を休むことができない」「休業した場合の減収により生活が困難になる」「より感染リスクが高いと指摘される保育所、学童保育を開けて、学校を休校とすることに整合性がない」「一日中家の中で子どもを見るのは無理」、子どもたちからは「(休校で)退屈で仕方がない」「友達と一緒に勉強して遊べないのが大変辛い」等々の切実な声が今も新聞やテレビで多々報告されています。

 子どもたちへの感染リスクを検討し、臨時休校を行うことが必要である場合でも、各学校の設置者が、子どものいのちと健康を守ることを最優先に、専門家・教育関係者の英知を結集し、それぞれの地域や学校の実態を踏まえて対応するべきです。今回の対応は、専門家の知見に基づく十分な検討を経て行われたものではありません。ここに極めて重大な問題があることはだれの目にも明らかです。

 大阪市教は、今回の唐突な一斉休校の措置に関して、子どものいのちと健康を守ることを最優先に、専門家・行政関係者・教育関係者の英知を結集して、人員配置や財政措置を含む対応をされることを強く求め、緊急に下記の点について申し入れます。

1.子どものいのちと健康を守ることを最優先に、客観的データ、医学的知見など科学的な根拠に基づいて、かつ教育関係者の英知も結集し、子どもたちの教育保障、発達保障の観点もしっかりと踏まえた対応を、憲法と教育の条理に基づき、教育行政として行うこと。

2.ユネスコ(国連教育科学文化機関)3月5日声明「新型コロナウィルス対策の休校で世界で少なくとも2億9千万人の子どもが影響を受け、教育を受ける権利が損なわれる恐れがある」を踏まえ、臨時休業にあたってはそのデメリットに対しての論議も十分に行い、幼児・児童・生徒の教育権の保障、休業の期間や休業中の学校のあり方を含め、教育関係者の英知を結集し対応すること。唐突突然な臨時休業の延長、学校の再開で混乱が起きないよう、各種専門家の意見を踏まえ現場の声も聴き対応を行うこと。

3.貧困から子どもを守るために、経済的に厳しい家庭の子どもたちへの支援対策等を、また、学童保育の体制や障害のある子どもたちの居場所の確保など社会インフラの整備を他の機関・課と連携し行うこと。

4.臨時休業措置などの「コロナ」拡大防止対策によって、給食食材納入業者や運輸業界などが大きな打撃を受け、経済悪化が懸念される。これに対する経済対策を府の関係機関とともに国に要請すること。

5.教職員が安心して必要な対応ができるよう、必要な教職員の加配や柔軟な服務の扱いを可能とすること。また、妊婦や基礎疾患のある教職員、家族に高齢者がいる教職員もあることから、教職員の感染リスクを減らすため、次の措置を行うこと。

 (1) 必要な教職員の加配を行うこと。

 (2) 教育公務員特例法第22条に基づいて自宅での研修を積極的に奨励すること。

 (3) 前述のような事情を抱える教職員の自動車通勤を認めること。

以上